現在の日本では、男性型脱毛症(AGA)だけでも1800万人以上の患者がいるとされる。女性型脱毛症も含めれば、その数は計り知れません。
先日、薄毛で悩んでいる私達にとって嬉しいニュースがあった。
内容を簡単に言うと、毛髪を作り出す「毛包」と呼ばれるところを培養して増やすというもの。そして、この増やした毛包を頭皮に植え付けていけば、毛髪がないところでも毛が生えるということだ。
参考:「毛包器官再生医療に向けた非臨床試験開始について 」
元ネタは株式会社オーガンテクノロジーズと理化学研究所が公開しているPDFの資料。この資料では臨床研究の前段階である、非臨床試験を開始することを発表している。
再生毛包で毛髪が増える仕組み
毛包再生で毛髪が増える仕組みは、まず以下の引用を見てほしい。
成体マウスの毛包器官から、バルジ領域に存在する上皮性幹細胞と、間葉性幹細胞である毛乳頭細胞を分離し、「器官原基法」により毛包原基を再生し、ヌードマウスに移植すると、再生毛包へと発生し、再生毛包原基の移植密度に応じて毛幹(毛)を再生できることを実証しました。
引用元:毛包器官再生医療PDF
少し難しいので、簡単に解説する。
毛髪を作り出す元となる「再生毛包」をマウスに移植し、毛が生えたとのこと。また、この毛包は周囲の組織と接続して、毛周期もしっかりと維持してくれるそうだ。
なので理論上では、この再生毛包を頭皮にたくさん植えれば、普通の毛髪のように「伸びて、成長して、抜けて」を繰り返してくれるであろう。
これはまさに画期的な再生医療だ。
植毛との違いは何?再生毛包の培養とは
一見これは植毛のようにも見えるが、なにか違いがあるのだろうか?
じつは植毛というのは、毛髪の元気なところ(後頭部など)の細胞を切り取り、毛髪が少ないところ(おでこなど)へ移植してく。これが植毛だ。
この植毛にはデメリットがある。
- 全体的な毛髪の本数は増えない。
- 頭皮の張り具合で移植方法が限られる。
- 採取した場所は毛髪が生えてこない。
- 傷跡が残ってしまう可能性がある。
自分の元気な毛髪の細胞を使い回しするわけだから、全体的な毛髪の本数が増えるわけではない。
また、毛髪がほとんど無い場合は当然ながら植毛できないし、頭皮の張りぐあいが強い人も移植方法が限られる。しかも、この採取した場所は、毛包がないので毛髪は生えてこない。
その他にも、傷跡が残ってしまう可能性もある。
理化学研究所では、今回の再生毛包を生体外での培養に成功している。
普通ならば、生体外で培養した毛包の再生力は消失してしまうが、人の細胞を用いて培養することでこれをクリアしている。
これはかなり凄いことだ。
生体外での培養に成功したことで、自分の毛髪を1つひとつ採取して植え付ける植毛と違い、人工培養された毛包を使えるので、先ほど上げたデメリットのいくつかを克服することになる。
いつ頃から実用化される?
この素晴らしい研究は、いつ頃から実用化されるのでしょうか?
今回の資料では、非臨床試験を開始すると記されています。
この非臨床試験というのは、人に対してやる臨床試験の前段階という意味。つまり、マウスなどの動物を使い臨床試験をするということ。
人に対して臨床試験をするには、「再生医療等の安全性の確保」などに関する法律に従って、人の命や身体に悪影響がないか確認する必要がある。また、この動物を使った非臨床試験では、人での安全性を確保するために「製法や品質の安定性」も証明しなければならない。
理化学研究所によれば、2018年7月から動物を用いた非臨床安全性試験を開始する予定とのこと。
その後、いろんな審査をクリアして、人に対する臨床試験へ進むとのこと。
数年後、いや早ければ1、2年後には現実的な再生医療として、再生毛包の培養が人に適用される明るい未来は近いと思われる。
まとめ
この再生医療が確立されるまであと数年、少しでも元気な毛髪を残しておきたい。今はとりあえず、育毛剤や育毛サプリ、育毛シャンプーなどで耐え忍んでいこうと思う。
最近では、男性のM字はげに良いとされる育毛剤や、毛乳頭を活性化させる成分配合の女性育毛剤なども売られているので、参考にしてもらいたい。
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少しでも元気な毛髪、健康な頭皮を目指して維持していきたいものだ。
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